REACH改定2024/2025: 低トン数物質/最も有害な物質(内分泌かく乱作用を含む)に関する情報要求事項の拡大
Date: 20 June, 2023
欧州委員会は現在、REACH規則の改定を進めており、想定される変更点をすでに公表しています。これらの内容は、2023年3月28-29日に開催された第48回CARACAL*会議で公表されました。
REACH 改定に関する暫定的なスケジュールでは、具体的な立法案は遅くとも2023年第4四半期に、付属書を含む最終的な立法案は2024-2025年に公表される予定です。
最も関連性の高い変更点のひとつは、低トン数物質と、内分泌かく乱作用の情報を含む最も有害な物質に関する登録要求項目の追加です。
*CARACAL
化学物質の登録・評価・認可・制限(REACH)および分類・表示・包装(CLP)に関する所轄官庁の略称です。定期的に開催されるCARACAL会議では、専門家グループ、利害関係者、REACH当局が一堂に会し、REACH規則(EC) No 1907/2006およびCLP規則(EC) No 1272/2008に関する最新のトピックについて議論します。
ヒトの健康に関する情報の要求事項の拡大
現在、新しい試験要求項目が附属書VIIで検討されており、そのほとんどは「NAM」(New Approach Methodologies:新しいアプローチ方法、すなわちin-vivo試験の代替)に基づくものです。
– In vitro 細胞毒性試験
- ニュートラル・レッド取り込みアッセイ(Neutral Red Uptake Assay)
– トキシコキネティクスとADME(吸収、分布、代謝、排泄)
- in chemico タンパク質結合(ヒト血漿中の未結合分画など)
- in vitroヒト肝クリアランス(例:単離ヒト肝細胞)
- in vitro細胞内生物蓄積(例:Caco-2細胞など)
- in vitro腸管吸収(例:Caco-2透過性)
– 内分泌かく乱作用(ED) in-vitro メカニズム情報(ヒトの健康と環境の両方に関連)
- エストロゲン受容体転写活性化試験 (OECD TG 455)
- アンドロゲン受容体転写活性化試験 (OECD TG 458)
- H295R ステロイド生成試験 (OECD TG 456)
- アロマターゼアッセイ (OPPTS 890.1200)
有害性に懸念のある物質については、反復投与毒性試験、生殖・発達毒性スクリーニング試験(OECD TG 422)、内分泌かく乱作用に関する in-vivo 試験がトリガーとして検討されるでしょう。
特に、トリガーについては以下のオプションが検討されています: log Kow(>3)から予測される生物学的半減期に基づくトリガー、またはin-vitroトキシコキネティクスデータに基づくトリガー(本改定後に作成予定)。
トリガー/免除については現在も検討中です。
内分泌かく乱作用の懸念がある場合の追加要求項目案は次の通り:
- げっ歯類における子宮肥大試験:(OECD TG 440)及び
- ラットにおけるハーシュバーガー試験(OECD TG 441)
また、科学的進歩に合わせて要求事項を更新し、低トン数および内分泌かく乱作用に関する追加要求項目とのバランスをとるため、以下の試験を削除することが提案されています:
– ラットにおける急性経口毒性試験(附属書 VII)
– ラットの急性経皮・吸入毒性試験(附属書 VIII)
– 皮膚腐食性/刺激性試験(附属書 VIII)
– 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性試験(附属書 VIII)
– 入手可能な関連情報から得られる範囲でのトキシコキネティクス動態の評価(附属書 VIII)
– 90 日間試験を超える追加試験(附属書 IX 第2列 )
– 出生前発生毒性試験 2 番目の動物種(附属書 X 及び附属書 IX のトリガー)
– 長期反復毒性試験(12 ヶ月以上)(附属書 X)
– 暫定:発がん性試験(附属書X)?
削除する試験の範囲、削除条件については現在検討中です。
環境に関する情報要求事項の拡大
環境に関する要求情報については、以下の提案が提示されました:
– 短期魚毒性試験と魚類に対する生物蓄積性試験をin vitro試験で代替
– 無脊椎動物(ミジンコ)に対する長期毒性試験:附属書IXから附属書VIIへの移行
– トリガー/免除:検討中
– 内分泌かく乱物質(ED)の特定に関する追加要求事項:現在検討中
本内容の詳細はこちらをご覧ください。: CARACAL presentation
https://www.scc-gmbh.de/images/scc/news/AP4_1_REACH_revision_overview_CARACAL-48_presentation.pdf
この情報は現時点のものであり、本規則が最終化されるまでは改訂、変更されます。
SCCは引き続きモニタリングを行い、本サイトで随時アップデートを行っていきます。